奥華子の楽曲の中に楔という名前の曲があって、約束は心をつなぎとめるものではなくて自分への気休めなんじゃないかみたいな歌詞があるのだけれど本当にそう、奥華子は正しい、約束では心をつなぎとめることができない。例え書面でかわすようなガチガチの約束だったとしても。

 

わたしとあなたはお付き合いしています、という約束を交わした人とは別の人と体を重ねたのに何の罪悪感も湧かなくて笑ってしまったし、もし相手が私と同じことをしたとしても特に何がしかの感情が湧いてくるというようなこともなさそうで、何が間違っていて何がおかしくてどこが狂っているのか、とうとう私には何もわからなくなったと思った。別にショックを受けたとかそういうこともなく、ただ単純にそう思った。

 

考えることを放棄して適当な言葉を吐きつづける生活に慣れてしまったせいで頭が悪くなっている。もっと頭が良くなって、つまらないことで悩まないようになりたい。私のことを理解してくれる人がいないことくらいわかってる、それでも私はその誰かを求め続けたいし、それで辛うじて今生きているようなところもある、現実を見た途端死んでしまうような気がしているから、私は理想と現実をリンクさせようと今必死になっているんだろう、理想と現実と復讐とが混ざり合ってできた暗く淀む水たまりの中で最悪私は生きて死ぬ。