私のこと

昭和が平成に移り変わるその狭間に私が生まれた。覚えていないけど。

 

生まれたのは東京で、下町と呼ばれる場所だった。私はそのままそこで育っていくことになる。

 

 私が覚えている最古の記憶は3歳の頃に引っ越したマンションの3階で「3」と書かれたパネルを見ながら、ああ、私も3歳だからお揃いだなあ、と思った、というものだ。些細なことすぎてなぜ覚えているのかよくわからない。3歳より前に住んでいた場所のことはよく思い出せないし、もっと言えば4歳の頃に妹が生まれたはずなのにそのこともよく覚えていない。

 

共働きの家庭だったので保育園に通っていた。

 

朝母に連れられて保育園に行き、昼間は保育園で過ごして、夕方母が迎えに来て、母が忙しいときは千葉から祖母がやってきて迎えに来て、家に帰って風呂に入ってご飯を食べて遊んで寝る。

私は多分そうやって生きてきた。

 

本を読むのが好きで絵を描くのが好きで外で走り回ったりすることは苦手だった。保育園で同じクラスの子にセーラームーンを描いて、と言われたら描いてプレゼントしていた。保育園の本棚にある本は全部読んだ。家の本棚の背の届く段にある本も全部読んだ。絵を描いたり本を読んだりする時間が削られることがいやでご飯を食べるのも風呂に入るのも寝るのも嫌いだった。

 

私はそうやって生きていた。