私と妹

私には妹がいる。

年は4歳離れていて、妹が早生まれなので学年でいえば3つ違う。4歳離れているというのはまた微妙で、1、2歳離れている兄弟ほどの近さはないし、6～10歳離れている兄弟ほどの「第2の親感」みたいなものもない。第2の親感が存在するのかどうかは知らないけど、守ってやらなければ！ と思うようなこともなかった。結構離れてるとそういうのがあるって聞くんですが、どうなんですかね？

とにかく妹がいる。

妹は生まれてから小学校中学年くらいまで周りの大人からとにかく破天荒だとよく言われていた。

まず言っていることが天才めいていた。会話の飛躍がすさまじいというか、本人の中ではつながっているんだろうけど他の人からしたら訳がわからない、みたいな飛躍の仕方を普通にする。その飛躍の仕方に周りの人間が困惑したりすると不機嫌になる。こうやって書くとヤバい奴みたいだけど、小さな子供が、思いもつかないような話をポンポン飛躍させていくさまは、当時周りにいた大人たちを驚かせた。この子は天才なんじゃないか、としきりに言われていた。主に親戚に。

思考が飛躍しがちなので、行動も飛躍する。保育園から脱走したりとか、火遊びをしたりとか、寝転がって本を読んでいる私の背中に椅子の上からダイブして攻撃したり、怒りにまかせて私の腕を折ろうとしたり、とにかく小さいころの彼女は破天荒以外の何物でもなかった。

私は彼女の散らかしたおもちゃを片付ける係であり、風呂に入れてやる係でもあり、飛躍する彼女の言葉を解説する通訳でもあり、思い通りにならないことに腹を立てる彼女をなだめる人でもあった。妹が生まれた瞬間から、私は姉という生き物になった。

同じ保育園に通い、同じ小学校に通っていたので、私が中学校に上がるまで、妹を見る姉の役割は執拗に私に付きまとった。