小学生の頃に通っていた学童クラブの一個下の男の子

小学生の頃に通っていた学童クラブの一個下の男の子は私が小学校二年生の時に小学校一年生として学童クラブにやってきて私が持たない社交性をフル活用して友達をたくさん増やしていた。

 

小学生の頃に通っていた学童クラブの一個下の男の子にはお兄ちゃんがいて、そのお兄ちゃんは私の一個上だった。そのお兄ちゃんに私はよくからかわれた。

 

小学生の頃に通っていた学童クラブの一個下の男の子はやんちゃで学童クラブの帰り道にある精肉店のおじさんからよくから揚げをねだってはもらって食べていた。その子に限らず男の子ならだれでももらっていた。私はいつも断っていた。

 

小学校の頃に通っていた学童クラブの一個下の男の子は口が悪くていつも暴言ばかり吐いていたけれど笑うとほっぺたがぐいんと上がって目がなくなってしまうようなそういう屈託のない笑顔の男の子だった。

 

小学生の頃に通っていた学童クラブの一個下の男の子が同じ中学に入学したとき、小さかった背が伸びていてすらっとした男の子になっていて、ちょっと怖いなと思ったけれど笑った顔は何にも変わらなくて男の子は外見ばかり大きくなるくせに中身は全然変わらないんだなあと思った。

 

 

 

 

 

小学生の頃に通っていた学童クラブの一個下の男の子が学童クラブ時代によく遊んでいた公園の木で首を吊って死んだときになぜかはわからないけど私の心のど真ん中に真っ黒い絵の具がぼたりと落とされたような感覚に陥ってきっともう二度とどんな色を混ぜたって元の色には戻らないのだとふとそんな気がした。

 

小学生の頃に通っていた学童クラブの一個下の男の子と最後に交わした言葉がなんだったのかも思い出せないままなぜという疑問ばかりが浮かんできてその疑問をぶつけるべきその子は永遠にもう私の前には現れないことを、その子が抱えていた悩みとか不安とかを私も誰も知ることができなくなってしまったことを、それらすべてを承知して彼が何もかも手放してしまったということを強制的に理解したというか、せざるを得なかった。そうすることしかできなかったから。

 

寂しいとか悲しいとか、そういう感情の中に少しだけ、ずるいという気持ちがあった