許さない人

焦がれて焦がれて焦がれ抜いたあなたの顔も声も私は知らない
 
 
私は許さない人間になっていた
予定通りに進まないことが許せなかった
思い通りにならないことが許せなかった
自分の言ったことに責任を持たない人たちを許せなかった
へらへらと過ごしている人たちを許せなかった
つまらない毎日が許せなかった
悲しいと思うことを許せなかった
辛いと思うことを許せなかった
幸せでないことが許せなかった
悲観することされることすべてが許せなかった
 
 
父のことが、父のことを、どこまでいっても許せなかった
 
 
いくら勉強していい学校に通っても、大学に通っていろいろなことを学んでも、就職をして自分でお金を稼いでも、大手と言われる企業に入社してもっとお金を稼いでも稼いでも稼いでも、みんなから大人と呼ばれる生き物になっても、私は父のことが、私は父のことを、いつまでたっても、どこまでも許せなかった
 
 
予定通りに進まないことも思い通りにならないことも責任感のない人たちのこともへらへらしてる人たちもつまらない毎日も悲しみも辛さも不幸も悲観的な何もかもを、父を、父のしてきたことを、あのひどかった毎日のことを、
 
 
全部許すことのできない矮小なちっぽけな自分のことを私はきっと一生許せない